続報 音楽教室、対JASRAC提訴

 先日のブログでも取り上げていたのですが、平成29年6月20日、音楽教室側がJASRACを相手に、債務不存在確認訴訟を東京地方裁判所に提起したようです。

 債務不存在確認訴訟とは、自らが相手に対し債務を負わないことを裁判所に確認してもらう訴訟で、今回は、音楽教室がJASRACに著作権使用料の支払義務を負わないことの確認を求めたことになります。

 

 音楽教育を守る会(以下「守る会」)ホームページによると、主張の要点は3点で、①公衆に対する演奏ではないこと、②聞かせることを目的とした演奏ではないこと、③著作権法の立法目的にそぐわないことを掲げています。

 前回のブログでも指摘しましたが、問題となっている著作権法22条を争うとすれば、「公衆性」、「聞かせる目的」にあたるかという部分を攻めるしかないわけで、やはりという感じがします。

 

 上記の主張の中で、②はかなり苦しいのではないかという気がします。

 守る会は、「音楽著作物の価値は人に感動を与えるところにあるが、音楽教室での教師の演奏、生徒の演奏いずれも音楽を通じて聞き手に官能的な感動を与えることを目的とする演奏ではなく」としていますが、教育目的であろうと「聞かせる」は「聞かせる」であり、官能的な感動を与えるかどうかで区別するといった飛躍的な解釈は出来ないかと思います。

 

 こうなってくると①と③の合わせ技で、公衆性を否定する解釈が出来ないかというところになってくるでしょうか。

 仮に、公衆性を否定した場合、JASRACが著作権使用料を徴収してきたカルチャーセンターや歌謡教室等に波及すると思われますので、社会的影響は大きくなるでしょう。

 

 私は、どちらかというと音楽教室の側を支持しますので、この裁判の行方をじっくりと見守っていきたいと思ってます。

 それにしても、こういった事案に判断を下さないといけない裁判官という職業は、つくづく重責だなと思いますね。

2017年06月22日